記憶と記録・写真の役割

記憶と記録・写真の役割

あるとき、突然身の回りのすべてのものが消えてしまったら、昨日までの生活をどうやって思いだしたり、覚えていればよいのでしょう。人の記憶は年月とともに薄れて曖昧になっていきます。ずっと覚えていたいと願っても、記憶だけでは叶いません。

写真は、人にとって印象的であり、かつ芸術的であって欲しいのですが、同時に、記録としての役割がとても大事なものだと感じます。

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東日本大震災を経験して、写真の役割というものを痛感しました。決して忘れたくないものを、唯一留めていてくれたのが写真です。日常でも、身近な町並みが、いつの間にか変わってしまったことがあります。以前、ここには何があったのだろうかと思い出そうとしますが、思い出せません。しかし、今見ているものに、確かに違和感を感じるのです。

佐原

2010年に撮影した香取市佐原地区、夏の大祭が行われる本宿へ行くために通りがかったこの場所は、震災で大変な被害を受けました。この一枚は、特に記録のためにと撮影したものではありませんが、結果的に、かつての建物の姿を残す一枚になってしまいました。

一人

ここはわたしが大好きな路地、佐原は北総の小江戸と呼ばれ、漆喰造りの蔵や、板塀と瓦屋根の屋敷が残る美しい町です。迷路のような路地を歩きまわり、ここに住む人々の生活の一部にちょっとだけ触れるのがとても好きでした。

祭り

小野川沿いには、日本で初めて地図をつくった伊能忠敬の旧宅があり、また、伊能忠敬旧宅の近くには、「下総国旧事考」を書いた清宮秀堅宅もあります。

伊能忠敬旧宅は、震災で深刻な被害を受けており、いまだに完全復旧には至っていません。

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町の南側の小高い丘に阿夫利神社が鎮座していますが、ここからは佐原の町が一望できます。ここから見える町のブルーシートが全て消えるのはいつのことだろうかと、震災後、何度も足を運びました。

震災で感じたこと、常日頃から写真を撮影する

上手く撮るとか、綺麗に撮るとか考えないで、家族、友人、身近なものや風景、興味があるもの、綺麗だなと思う物にレンズを向けて写真を撮影しておけば、それがいつか大切な記録になるかもしれない。自分にとって、かけがえのない宝物になることもある。